2023-01-01から1年間の記事一覧

「通販生活」表紙炎上と現代の情報戦

テレビ画面に映る戦場を猫が眺めている。画面のこちら側は、猫が人語を話すファンタジックな異世界であり、戦争が進行中の現実世界から厳然と隔絶されている。下に置かれたテキストを踏まえて見れば、実によく考えられたデザインである。 もちろんこれは人間…

「値上げに消費追いつかず」?──報道言語の〝奇形化〟が暗示するもの

時間の制約や各方面への過剰な気配りが災いして事実関係を間違えたり、意味不明な文章を流してしまうことは往々にしてある。それが文章で生計を立てている職業ライターであったとしても、多くの心ある読者は、彼ら彼女らも生身の人間であるゆえ致し方ないと…

「不可能」の精算を前に

政府は8月24日、福島第一原発から出る処理水の海洋放出に踏み切った。奇しくもこの日はシモーヌ・ヴェイユ(1909~43)の80回目の命日でもあった。放出の賛否をめぐる阿鼻叫喚の数々に目を通しているうち、ヴェイユの言葉が思い起こされたのも果たして偶然だ…

最近の「報道言語」自壊の一例について

単なる無知なのか、それとも故意によるのか──。 名古屋出入国在留管理局で2年前に死亡したスリランカ人女性の死亡前の映像を遺族側が公開したことについて、斎藤健法相が「問題視した」という記述が複数の記事にあった。以下の引用は共同通信記事のリード部…

死刑判決の可能性──安倍氏殺害事件は「令和の暗黒裁判」となるか

安倍晋三元首相が銃撃され殺害された事件から半年を経て、現行犯の山上徹也容疑者(42)が13日、殺人と銃刀法違反の罪で起訴された。犯行の計画性や精神鑑定結果などから、奈良地検は同容疑者に刑事責任能力があると認めた。審理は裁判員裁判になるという。 …